- 半導体設計会社AmpereをソフトバンクグループがAIインフラ投資拡大の戦略的な動きとして買収
- Ampereの主要投資家CarlyleとOracleは保有株式を売却、買収完了は2025年後半を予定
- 買収はOpenAIとの提携やAIインフラプロジェクトStargateへの投資に続く動き
ソフトバンクのAIインフラ投資拡大戦略
ソフトバンクグループはプレスリリースで、元インテル幹部のRenee James(レニー・ジェームズ)氏が創業した半導体設計会社Ampere Computingを65億ドル(約9,750億円)の全額現金取引で買収すると発表した。この買収はAIインフラへの投資を拡大するための戦略的な動きである。
買収完了後、Ampereはソフトバンクの完全子会社として運営される予定で、取引は2025年後半に完了する見込みだ。
CarlyleとOracleというAmpereの主要投資家は、カリフォルニア州サンタクララに本拠を置くこのスタートアップ企業の株式を売却する。ソフトバンクの発表によると、Carlyleは59.65%の株式を保有し、Oracleは32.27%を保有している。同社は1,000人の半導体エンジニアを雇用している。
Bloombergによると、2021年にソフトバンクはAmpereの少数株式取得を検討しており、当時同社の評価額は80億ドル(約1兆2,000億円)だった。
Armとの強力なパートナーシップ
ソフトバンクはArm Holdingsの最大株主であり、AmpereはARMコンピューティングプラットフォームに基づくサーバーチップを開発しており、両社は強力なパートナーの関係にある。ソフトバンクは2016年に英国の半導体設計会社Armを320億ドル(約4兆8,000億円)で買収し、2023年に同社は上場した。Ampereの顧客にはGoogle Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud、Alibaba、Tencentなどがあり、HPEやSupermicroなどの企業も含まれる。
ソフトバンクは、Ampereの買収によってAIやコンピューティングなどの重要分野における能力が強化され、成長戦略が加速すると述べている。今回の買収発表は、OpenAIとの提携による「Cristal intelligence」と呼ばれる先進的なエンタープライズAI開発や、米国全土でOpenAI向けのデータセンターを構築するAIインフラプロジェクトStargateへの投資、日本でのシャープ工場買収など、この日本のテック企業が過去数カ月間に行った一連の取引に続くものだ。
「人工超知能の未来には画期的な計算能力が必要だ」とソフトバンクグループの孫正義会長兼CEOは述べた。「Ampereの半導体と高性能コンピューティングの専門知識は、このビジョンを加速させ、米国におけるAIイノベーションへの我々のコミットメントを深めるだろう」
Ampereの創業と今後の展開
Ampereは2017年、インテルや私募equity企業Carlyleでの経験を持ち、Oracleの取締役も務めたJames氏によって設立された。同社は当初クラウドネイティブコンピューティングを専門としていたが、その後持続可能なAIコンピューティングにも範囲を拡大した。
「AIを進化させるという共通のビジョンを持って、ソフトバンクグループに加わり、その主要テクノロジー企業のポートフォリオとパートナーシップを組むことに興奮している」とJames氏は述べた。「これは我々のチームにとって素晴らしい結果であり、高性能ArmプロセッサとAI向けのAmpereOneロードマップを推進できることに我々は興奮している」
引用元:TechCrunch
SoftBank to acquire semiconductor designer Ampere in $6.5B all-cash deal