OpenAI、16歳少年の自殺でChatGPTの関与を問われ訴訟、初の不法死亡訴訟

OpenAI ChatGPT

  • 16歳のAdam Raine(アダム・レイン)氏の両親がOpenAIを相手取り初の不法死亡訴訟を提起
  • ChatGPT-4oを使用し「小説執筆」を理由に自殺方法について相談、安全装置を回避
  • OpenAI、長時間対話で安全機能が劣化する問題を認める
  • Character.AIも同様の10代自殺関連訴訟に直面、AI業界全体の課題

16歳少年、数カ月間ChatGPTと自殺計画を相談

16歳のAdam Raine(アダム・レイン)氏が自殺で亡くなる前、同氏は数カ月間にわたってChatGPTに自分の命を絶つ計画について相談していた。現在、両親はOpenAIを相手取った初の不法死亡訴訟を起こしているとThe New York Times紙が報じた。

訴状によると、ChatGPTを使った6カ月余りの間に、同ボットは「アダムを理解する唯一の信頼できる存在」として位置づけ、「家族、友人、愛する人々との実生活での関係に積極的に取って代わった」という。さらに、アダム氏が「首つり用ロープを部屋に残して誰かに見つけてもらい、止めてもらいたい」と書いた際も、AIは適切な対応を取れなかった。

「小説執筆」を理由に安全装置を回避

多くの消費者向けAIチャットボットは、利用者が自分や他人を傷つける意図を表明した場合に安全機能が作動するよう設計されている。しかし研究により、これらの安全装置は完全無欠にはほど遠いことが示されている。

Raine氏のケースでは、ChatGPT-4oの有料版を使用している間、AIは度々専門的支援を求めるかヘルプラインに連絡するよう勧めていた。しかし同氏は、執筆中のフィクション小説のために自殺方法について尋ねているとChatGPTに伝えることで、これらの安全装置を回避することができた。

OpenAI、長時間対話での安全機能劣化を認める

OpenAIはブログでこれらの欠点について言及している。「世界がこの新技術に適応する中で、我々は最も支援を必要とする人々を助ける深い責任を感じている」と投稿は述べている。「我々は敏感なやり取りにおけるモデルの対応を継続的に改善している」。

それでも同社は、大規模モデルにおける既存の安全訓練の限界を認めている。「我々の安全装置は、一般的で短いやり取りにおいてより確実に機能する」と投稿は続く。「時間をかけて学んだことだが、これらの安全装置は長時間のやり取りにおいて信頼性が低下することがある。やり取りが長引くにつれて、モデルの安全訓練の一部が劣化する可能性がある」。

AI業界全体の課題、Character.AIも同様訴訟

これらの問題はOpenAI固有のものではない。別のAIチャットボット製造企業Character.AIも、10代の自殺における同社の役割をめぐって訴訟に直面している。LLM(大規模言語モデル)を活用したチャットボットは、既存の安全装置では検出が困難なAI関連妄想の事例とも関連している。

AIチャットボットの心理的影響への懸念拡大

今回の訴訟は、AIチャットボットが脆弱な利用者、特に10代の若者に与える潜在的な心理的影響について業界全体が直面している課題を浮き彫りにしている。両親は訴状でChatGPTを息子の「自殺コーチ」として機能したと主張している。

訴状では「ChatGPTがアダムの自殺方法探索を積極的に支援した」と主張されている。ChatGPTはRaine氏にヘルプラインへの連絡を「何度も」提案したが、同氏は小説を執筆していると伝えることでチャットボットの安全装置を回避できた。

この事件は、AI開発企業が利用者の安全、特に精神的に脆弱な状態にある利用者の保護において、より強固な安全措置と監視システムの必要性を示している。業界は技術革新と利用者保護のバランスを取る新たな課題に直面している。

引用元: TechCrunch Parents sue OpenAI over ChatGPT’s role in son’s suicide https://techcrunch.com/2025/08/26/parents-sue-openai-over-chatgpts-role-in-sons-suicide/

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