OpenAIが11億ドルでStatsig買収、製品テストスタートアップ獲得で経営陣も大幅刷新

OpenAI ChatGPT

  • OpenAIが製品テストスタートアップStatsigを11億ドル(約1,610億円)の全株式取引で買収
  • Statsig創設者兼CEOのVijaye Raji氏がOpenAIのアプリケーション担当CTOに就任
  • Kevin Weil最高製品責任者が新設の「OpenAI for Science」部門VPに異動
  • Srinivas Narayanan工学責任者がB2Bアプリケーション担当CTOに役職変更

OpenAI史上最大級の買収案件が成立

OpenAIは9月2日のブログ投稿で、製品テストスタートアップのStatsigの買収に合意し、同社の創設者兼CEOであるVijaye Raji(ビジャイ・ラジ)氏を同社のアプリケーション担当最高技術責任者(CTO)として迎え入れると発表した。

OpenAIの広報担当者Kayla Wood(ケイラ・ウッド)氏が語ったところによると、OpenAIは現在の企業価値3,000億ドル(約43兆8,000億円)のもとで、全株式取引によりStatsigに11億ドル(約1,610億円)を支払う。これはChatGPTメーカーにとって史上最大級の買収の一つとなる。

Fidji Simo氏率いるアプリケーション事業の強化が目的

この買収は、数週間前に業務を開始したInstacart元CEOのFidji Simo(フィジ・シモ)氏が統括するアプリケーション事業を構築するOpenAIの最新の取り組みを示している。Raji氏はSimo氏に報告し、ChatGPT、同社のAIコーディングツールCodex、そしてOpenAIが構築を計画している将来のアプリケーションの製品エンジニアリングを率いることになる。同社は、Statsigの実験プラットフォームを社内に取り込むことで、アプリケーション組織全体の製品開発を加速すると述べている。

Vijaye Raji氏の経歴と役割

Raji氏の参画に伴い、OpenAIは経営陣の変更を行っている。Statsigは、製品の機能テストやA/Bテストなどの実験を効率的に実行できるプラットフォームを提供しており、OpenAIのような急成長するテック企業にとって重要なツールとなっている。

Kevin Weil CPOが新設「OpenAI for Science」部門を統括

同社の最高製品責任者であるKevin Weil(ケビン・ワイル)氏は、「OpenAI for Science」と呼ばれる新部門のVPになると、LinkedInの投稿で発表した。Weil氏は、新組織の目標は「次世代の偉大な科学機器:科学的発見を加速するAI搭載プラットフォームを構築すること」だと述べている。

Weil氏は、OpenAIの研究者でMicrosoft元AI担当副社長兼杰出科学者のSebastien Bubeck(セバスティアン・ブベック)氏と密接に協力すると述べた。

「OpenAIの製品・デザインリーダーたちが素晴らしく、今はアプリケーションCEOとしての役割を開始したFidji Simoによって補完されているため、私はこれができる」とWeil氏は述べた。「参加以来、OpenAIの製品は私の人生であり、それらは素晴らしい手に委ねられている」

Srinivas Narayanan氏がB2Bアプリケーション担当CTOに異動

一方、OpenAIの現工学責任者であるSrinivas Narayanan(スリニバス・ナラヤナン)氏は、LinkedInの投稿で、同社のB2Bアプリケーション担当CTOという新しい役職に異動すると発表した。この役職で、Narayanan氏は企業顧客との多くの関係を監督するOpenAIのCOO、Brad Lightcap(ブラッド・ライトキャップ)氏と直接協力すると述べている。

経営陣刷新の背景

これらの人事異動は、OpenAIが製品開発、科学研究、企業向けサービスという3つの主要領域により集中した体制を構築しようとしていることを示している。特に企業顧客向けサービスの強化は、同社の収益成長戦略において重要な位置を占めている。

規制当局の承認待ちで買収完了へ

OpenAIは、Statsigの買収が規制当局の審査待ちだと述べている。完了すると、同社はすべてのStatsig従業員がOpenAI従業員になると述べている。しかし、製品テストスタートアップは「シアトルオフィスから独立して運営を継続し、顧客ベースにサービスを提供する」と同社はブログ投稿で述べた。

Statsigの継続運営と独立性維持

買収完了後も、Statsigは既存顧客へのサービス提供を継続し、シアトルオフィスでの独立運営を維持する予定だ。これは、既存顧客への影響を最小限に抑えながら、OpenAIがStatsigの技術と人材を活用できる体制を構築することを目指している。

AI業界における製品開発競争の激化

今回の買収は、AI業界における製品開発競争の激化を背景としている。製品の機能テストや最適化は、ChatGPTのような大規模なAIアプリケーションの性能向上において極めて重要な要素となっており、OpenAIは社内でのテスト能力強化を図っている。

11億ドルという買収額は、OpenAIがアプリケーション事業に対して行う大規模投資の一環であり、同社が単なるAI研究開発企業から、幅広い製品・サービスを提供する総合AI企業への転換を加速していることを示している。

引用元:TechCrunch OpenAI acquires product testing startup Statsig and shakes up its leadership team

https://techcrunch.com/2025/09/02/openai-acquires-product-testing-startup-statsig-and-shakes-up-its-leadership-team/

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