- ニューヨークタイムズがAmazonとAIライセンス契約を締結、OpenAI・Microsoft訴訟から約2年での方針転換
- ニュース記事、NYT Cooking、The Athleticなどの編集コンテンツをAmazonのAIプラットフォーム学習に提供
- Amazon初のメディアライセンス契約、Alexaスマートスピーカーでの活用も含む包括的内容
- OpenAIは既にワシントンポスト、ガーディアンなど複数メディアと同様契約を締結済み
The New York TimesとAmazonの歴史的AIライセンス契約
著作権侵害でOpenAIとMicrosoftを提訴してから約2年後、The New York Timesは、テック大手AmazonのAIプラットフォームの学習用に編集コンテンツをライセンス供与することに合意した。
この契約により「タイムズの編集コンテンツを様々なAmazonの顧客体験に提供する」と同社は声明で述べた。これには、ニュース記事、食品・レシピ専門サイトNYT Cooking、スポーツ専門サイトThe Athleticなどのコンテンツが含まれる。
同社はまた、AmazonによるThe Timesの編集コンテンツの使用が、スマートスピーカーのAlexaソフトウェアにまで拡張される可能性があることも指摘した。
Danielle Rhoades Ha氏が語る契約詳細
「Amazonの製品における消費者体験において適切な場面では、読者が完全なタイムズ体験を得られるタイムズ製品への直接リンクを提供する」と、The New Timesの広報担当者であるDanielle Rhoades Ha(ダニエル・ローズ・ハ)氏は語った。
契約条件は開示されていないが、これはAmazonにとって初めてのこのような契約である。OpenAIは既にThe Washington Post、The Atlantic、The Guardian、NewsCorp、Axel Springerなど複数の出版社と同様の契約を締結している。
OpenAI・Microsoft訴訟からの方針転換
これはThe Timesが生成AI重視のライセンス契約に合意する初回でもあり、同社がOpenAIとMicrosoftに対してThe Timesが発表した数百万の記事を同意や補償なしにAIモデルの学習に使用したと告発した後に実現した。
「商業取引であれ知的財産権の行使であれ、我々の仕事が適切に評価されることを確実にする長年のアプローチがある」と広報担当者は述べた。
OpenAIとMicrosoftの両社は、不正行為の申し立てを否定している。
メディア業界におけるAIライセンス契約の拡大
この契約は、メディア業界におけるAI技術との関係性の変化を象徴している。当初は著作権侵害として法的対立が生じていたが、現在では適切な補償を伴うライセンス契約という形で協力関係が構築されつつある。
特にThe New York Timesのような影響力の大きいメディア企業がAmazonと契約を結んだことは、他の出版社にも同様の契約締結への道筋を示すものと考えられる。これにより、AI企業は合法的かつ倫理的なデータ取得が可能になり、メディア企業は新たな収益源を確保できる。
Amazonにとって、この契約はAI分野での競争力強化と、Alexaをはじめとするプラットフォームの情報品質向上という双方の利益をもたらすことが期待される。
引用元: TechCrunch
The New York Times and Amazon ink AI licensing deal