- 非営利団体「Encode」が、Elon Musk氏のOpenAIの営利法人転換を阻止するための仮処分申請に支持を表明
- OpenAIの営利法人転換が「社会的利益」を脅かすとする主張が盛り込まれた意見書を提出
- OpenAIの営利転換に対し、AI分野の著名人物やMetaが反対
EncodeがMusk氏の申請を支援
非営利団体「Encode」は、カリフォルニア州で失敗したSB 1047 AI安全法案の共催者としても知られ、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が提起した、OpenAIの営利法人転換を停止するための仮処分申請を支援する意見書を提出した。
金曜日の午後、Encodeの弁護士は米国カリフォルニア北部地区連邦裁判所に提出した意見書で、OpenAIの営利法人転換が同社の「公共の安全と利益に貢献する変革的技術を開発・展開する」という使命を「損なう」と指摘した。
意見書は、「OpenAIとそのCEOであるSam Altman(サム・アルトマン)氏は、社会を変革する技術を開発していると主張しており、その主張は真剣に受け止めるべきだ」と述べている。もし、世界が本当に人工汎用知能(AGI)の新時代の入り口に立っているならば、その技術は安全性と公共の利益を優先する公共慈善団体によって管理されるべきであり、少数の特権的な投資家のために利益を生み出すことを目的とした組織によって管理されるべきではない。」と述べている。
AIの利益を独占するOpenAIに対する非難
Encodeの創設者兼代表であるSneha Revanur(スネハ・レヴァヌール)氏は、OpenAIが「AIの利益を内部に取り込み、その結果を全人類に外部化している」と非難し、「AI開発が公共の利益に資するように、裁判所が介入する必要がある」と述べた。
この意見書は、AI分野の先駆者であり2024年のノーベル賞受賞者であるGeoffrey Hinton(ジェフリー・ヒントン)氏や、カリフォルニア大学バークレー校のコンピュータサイエンス教授で「人間に適したAIセンター」所長のStuart Russell(スチュアート・ラッセル)氏から支持を受けている。
OpenAIの営利転換とその影響
OpenAIは2015年に非営利の研究所として設立された。しかし、その実験がますます資本集約的になったため、現在の構造を採用し、外部の投資家やMicrosoftなどの企業からの出資を受け入れた。
現在、OpenAIはハイブリッド構造を採用しており、営利法人部分は非営利法人によって管理され、投資家や従業員には「利益制限」のある株式を提供している。しかし、金曜日の朝、OpenAIは、既存の営利法人をデラウェア州の公共利益法人(PBC)に転換する計画を発表した。このPBCは、株式の発行とOpenAIのミッションを公共利益として設定する。
非営利から営利への転換に対する反対
OpenAIの営利法人転換に反対する声は大きい。特に、Meta社も反対し、カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官に宛てた書簡で、営利法人転換が「シリコンバレーに甚大な影響を与える」と警告している。
Encodeの弁護士は、OpenAIの営利法人転換が「高度なAIの安全性を確保するための法的義務を負う組織を、株主の利益を優先することに法律的に縛られた組織に変えることになる」と指摘した。
OpenAIにおける人材流出とその懸念
OpenAIは、安全性を重視する姿勢が商業的な製品を優先する方向にシフトしたことで、高度な人材の流出を招いている。元OpenAIの研究者であるMiles Brundage(マイルズ・ブランデージ)氏は、OpenAIの非営利法人が「サイドプロジェクト」として扱われ、営利法人が「通常の会社」として運営されることを懸念していると述べた。
Encodeの意見書は、OpenAIの非営利法人が営利法人転換後、株主の利益のために公共の利益が犠牲にされる可能性があることを強調している。
Encodeは2020年7月にレヴァヌール氏によって設立され、AIの影響に関する議論において若い世代の声を確実に届けることを目的としたボランティア団体である。EncodeはSB 1047をはじめ、ホワイトハウスのAI権利宣言やバイデン大統領のAIに関する行政命令など、さまざまなAI関連の州および連邦法案にも関与している。
引用元:TechCrunch
Nonprofit group joins Elon Musk’s effort to block OpenAI’s for-profit transition