- 米任天堂が、開発中のNintendo Switch 2向けゲーム『マリオカート ワールド』において、生成AIによる画像を使用していないと公式に発表
- この発表は、ゲーム内の看板アートワークに生成AI画像が使われているのではないかというユーザーからの指摘(疑惑)を受けて行われたものである
- ゲームを含むクリエイティブな作品へのAI利用に対しては、日本国内だけでなく海外でも一定数のユーザーが忌避感や懸念を抱いている現状がある。
『マリオカート ワールド』に生成AI画像は不使用と米任天堂が表明
米任天堂は2025年5月9日、ゲームメディアEurogamerに対し、開発中のNintendo Switch 2向けゲーム『マリオカート ワールド』において、生成AI技術を用いて生成された画像を一切使用していないとの声明を明らかにした。この発表は、一部のユーザーからゲーム内に表示される看板のアートワークに生成AIによる画像が使用されているのではないかとの指摘、いわゆる「看板が生成AI画像っぽい疑惑」が持ち上がったことを受けてのものだ。
疑惑の具体例としては、看板に描かれた文字のフォントが、AIによるアップスケーリング処理によって内部が潰れたように見えるデザインになっていることなどが挙げられていた。こうしたユーザーからの疑問に対し、米任天堂は生成AIの不使用を明確に否定した形である。
クリエイティブ分野でのAI利用へのユーザー感情
今回の米任天堂の対応の背景には、ゲームやイラスト、音楽といったクリエイティブな作品に生成AIが使用されることに対して、日本国内だけでなく海外でも一定数のユーザーが嫌悪感や懸念を抱いている現状がある。AIによる生成物が人間のクリエイターの仕事を奪うのではないか、あるいはAIの学習データに既存の著作物が無断で使われているのではないかといった倫理的な問題意識や、AI特有の不自然さに対する違和感などが、こうした感情の要因として挙げられる。
特に、世界中に多くのファンを抱える人気シリーズである『マリオカート』のような作品においては、ファンは開発チームによる手作業のクリエイティブや、シリーズが培ってきた独特のアートスタイルを重視する傾向が強い。そのため、そこにAI生成物が安易に用いられているのではないかという疑惑は、ファンからの強い反発を招きやすい状況にある。
AI技術の進化とクリエイティブ産業の課題
生成AI技術は急速に進化しており、その活用範囲は広がり続けている。クリエイティブ産業においても、アイデア出しの補助や作業効率化のツールとしてAIの導入が進む可能性が指摘されている。しかし、同時に、AI生成物の扱い、著作権問題、そして人間のクリエイターとの共存といった課題も浮き彫りになっている。
米任天堂が今回、ユーザーの疑惑に対して迅速かつ明確に生成AIの不使用を表明したことは、同社がユーザー感情、特にAIの利用に対する潜在的な反発を重視していることの表れと言えるだろう。これは、今後他のゲーム開発会社やクリエイティブコンテンツ制作者がAIを作品にどのように取り入れていくかを検討する上でも、重要な示唆を与える事例となる。
引用元:AUTOMATON
米任天堂、『マリオカート ワールド』には「生成AIの画像は使っていない」ときっぱり否定。“看板が生成AI画像っぽい疑惑”を受けて