- イーロン・マスク氏率いる投資家グループがOpenAIに対し、973.75億ドルでの買収を提案。全額現金での取引を提示。
- 提案書には2025年5月10日までの期限を設定。OpenAIの財務記録や人員へのアクセスを要求。
- マスク氏は、OpenAIが非営利組織のままであれば買収提案を取り下げる意向を表明。
マスク氏主導の投資家グループによる買収提案の概要
x.AI社を率いるElon Musk(イーロン・マスク)氏を中心とする投資家グループが、今週OpenAIに対して973.75億ドル(約14兆6000億円)での買収を提案した。OpenAIのSam Altman(サム・アルトマン)氏はこの提案を却下。同社の非営利組織からの転換を阻止しようとするマスク氏の訴訟の最中での提案となった。アルトマン氏の弁護団は水曜日の提出書類で、OpenAIの資産の買収を試みながら、非営利組織としての地位変更を阻止しようとする二枚舌的な姿勢を批判。これに対しマスク氏側は、OpenAIが非営利組織からの転換を中止すれば買収提案を取り下げると応答した。
これらの提出書類の一部として、マスク氏のチームからOpenAIを買収する意向書の全文が公開された。ここでは、この進行中の紛争に光を当てるために、その手紙やその他の法的提出物から学んだ5つの重要な詳細を紹介していく。
一、明確な期限設定
マスク氏のグループからの一方的な提案には、2025年5月10日という具体的な期限が設定されている。ただし、それ以前に取引が成立した場合や、両者が協議終了で合意した場合、あるいはOpenAIが書面で正式に提案を拒否した場合は例外とされる。アルトマン氏は公にこの提案を一蹴し、Xを10分の1の価格で買収する冗談めいた対案を出したものの、OpenAIの取締役会は競合他社からの提案であっても法的な評価が必要とされるため、まだ正式な拒否は行っていない。
一、全額現金での買収提案
Joe Lonsdale(ジョー・ロンズデール)氏の8VCやSpaceXの投資家であるVy Capitalを含むマスク氏の投資グループは、973.75億ドル(約14兆6000億円)での買収を提案し、購入価格の「100%を現金で支払う」としている。これは注目に値する点で、マスク氏は2022年にTwitter(現X)を買収した際に130億ドル(約1兆9500億円)を銀行から借り入れるなど、過去に負債の活用を躊躇しなかった。同氏の純資産は、新たな同盟者となったDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏の当選以来、一部の推定では4000億ドル(約60兆円)前後まで増加している。
一、OpenAIの内部情報へのフルアクセス
買収側は巨額の現金を支払う前提として、OpenAIの財務・事業記録の精査と、従業員へのインタビューアクセスを要求している。これには「資産、施設、設備、帳簿、記録」のすべてが含まれる。973.75億ドルという大規模な買収提案においてデューデリジェンスは通常の手続きだが、OpenAIの競合であるx.AIに機密情報へのアクセスを与えることにもなり得る。
一、買収提案とマスク氏の訴訟との矛盾
水曜日の法廷提出書類でOpenAIの弁護団は、973.75億ドルでの買収提案がマスク氏の「資産を民間に移転できない」とする法的主張と矛盾すると指摘。OpenAIはこの提案を「競合を妨害する不適切な入札」と示唆したが、マスク氏の投資グループは提案の「真剣さ」を主張し、資金は同社の非営利的使命を推進するために使用されると述べている。マスク氏の法務チームは、取締役会が非営利組織としての存続を約束すれば買収提案を取り下げるとしている。
一、OpenAIが非営利団体のままならば撤退の可能性
マスク氏の弁護団は、取締役会がOpenAIを非営利団体として維持することを約束した場合、彼はOpenAIの買収入札を取り下げると述べている。提出書類は、マスク氏の買収提案は本物であると主張し、非営利団体は独立した買い手が支払う金額に基づいて、その資産の公正な市場価値を受け取るべきであると述べている。
これは、一部の専門家が主張していることで、この提案は、アルトマン氏が会社を非公開化するために支払わなければならない価格を押し上げることを意図していたことを裏付けているように思われる。OpenAIの取締役会を代表する弁護士は声明で、マスク氏の入札は「OpenAIの非営利団体の価値を設定するものではない」と述べ、非営利団体は「売り物ではない」と述べた。
引用元:TechCrunch
Elon Musk’s full offer letter to buy OpenAI reveals five key details