Mistral、コーディング特化型の新AIモデル「Devstral」を発表

Mistral AI

  • MistralがAll Hands AIと共同開発したコーディング特化型AIモデル「Devstral」を発表
  • Apache 2.0ライセンスで商用利用も可能、ベンチマークで他のオープンモデルを上回る性能
  • 単一のNVIDIA RTX 4090や32GB RAMのMacでも実行可能な軽量設計

Mistralがオープンなコーディング支援モデルを発表

AIスタートアップであるフランスのMistralは水曜日、コーディングに特化した新しいAIモデル「Devstral」を発表した。

MistralによるとDevstralはAI企業のAll Hands AIとのパートナーシップにより開発され、Apache 2.0ライセンスのもとでオープンに利用可能となっている。これにより制限なく商用利用が可能だ。MistralはDevstralがGoogleのGemma 3 27Bや中国のAIラボDeepSeekのV3などの他のオープンモデルよりも、コーディングスキルを測定するベンチマーク「SWE-Bench Verified」において優れていると主張している。

「Devstralはコードベースの探索、複数ファイルの編集、ソフトウェアエンジニアリングエージェントの強化に優れている」とMistralはブログ記事で述べている。「モデルとテストケースの間のインターフェースを定義するOpenHandsやSWE-Agentなどのコードエージェントスキャフォールド上で実行される。DevstralはNVIDIA RTX 4090一枚あるいは32GB RAMを搭載したMacでも実行できる軽量さで、ローカルデプロイメントやオンデバイス利用に最適な選択肢だ」。

AI支援コーディングツールの競争が激化

Devstralの登場は、AIコーディングアシスタント(およびそれを支えるモデル)が増々人気を集める中での発表となった。先月、一連の人気アプリ開発ツールを提供する企業JetBrainsは、初めての「オープン」AIコーディングモデルをリリースしたばかりだ。近月、GoogleWindsurfOpenAIなどのAI企業もまた、プログラミングタスクに最適化されたオープンおよび独自のモデルを発表している。

AIモデルは依然として高品質なソフトウェアのコーディングに苦戦している。コード生成AIはプログラミングロジックの理解能力などの分野の弱さから、セキュリティの脆弱性やエラーを導入する傾向がある。しかし、コーディング生産性を向上させるという彼らの可能性は、企業や開発者に急速な採用を促している。最近の調査によると、開発者の76%が昨年の開発プロセスでAIツールを使用しているか、使用を計画していることが分かった。

MistralのAIコーディング戦略が進化

Mistralは以前、コード用の生成モデル「Codestral」でプログラミング支援の分野に参入していた。しかしCodestralは開発者が商用アプリケーションにモデルを使用することを許可するライセンスでリリースされておらず、そのライセンスは「会社のビジネス活動のコンテキストにおける従業員による社内使用」を明示的に禁止していた。

Mistralが「研究プレビュー」と呼ぶDevstralは、Hugging Faceを含むAI開発プラットフォームからダウンロードでき、またMistralのAPIを通じてアクセスすることも可能だ。価格は100万入力トークンあたり0.1ドル、100万出力トークンあたり0.3ドルとなっている。トークンはAIモデルが扱う生のデータの断片だ(100万トークンは約75万語、つまり「戦争と平和」より約16万3千語長い)。

Mistralが次世代AIモデルの開発も進行中

Mistralは「数週間以内に利用可能になるより大きなエージェンティックコーディングモデルの構築に懸命に取り組んでいる」と述べている。Devstralは小さなモデルではないが、240億のパラメータを持つ比較的小型の部類に入る(パラメータはモデルの問題解決能力にざっくり対応し、より多くのパラメータを持つモデルは一般的により少ないパラメータを持つモデルよりも性能が優れている)。

2023年に設立されたMistralはフロンティアモデルラボであり、チャットボットプラットフォーム「Le Chat」やモバイルアプリを含む一連のAI駆動サービスの構築を目指している。General Catalystを含むVCに支援されており、これまでに11億ユーロ(約12億4000万ドル、約1兆8600億円)以上を調達している。Mistralの顧客にはBNP Paribas、AXA、Miraklなどがある。

Devstralは今月MistralによるModelは3つ目の製品発表だ。数週間前、Mistralは効率的な汎用モデル「Mistral Medium 3」を発表した。同時期に、同社はAI「エージェント」ビルダーなどのツールを提供し、MistralのモデルをGmail、Google Drive、SharePointなどのサードパーティサービスと統合する法人向けチャットボットサービス「Le Chat Enterprise」を展開した。

引用元:TechCrunch
Mistral’s new Devstral AI model was designed for coding

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です