- MicrosoftがOpenAIのデータセンターインフラの独占的提供者としての地位を喪失。新契約では優先交渉権を保持。
- OpenAIは、SoftBank、Oracleなどとの大規模なAIインフラ契約「Stargate」を発表。
- MicrosoftとOpenAIの主要な協力関係は2030年まで継続。ただし、AIモデルのトレーニングと実行のインフラは非独占に。
- 計算能力の不足がOpenAIの製品開発の遅延原因となっており、両社間の緊張関係の一因に。
MicrosoftとOpenAIの新たな契約関係
かつてMicrosoftは、OpenAIのAIモデルのトレーニングと実行に必要なデータセンターインフラの独占的提供者であった。しかし、OpenAIがSoftBank、Oracleなどとの大規模なAIインフラ契約「Stargate」を発表したことに伴い、この状況が変更された。Microsoftは新たにOpenAIとの間で、新規クラウドコンピューティング容量に関する「優先交渉権」を持つ契約を締結した。これにより、今後はMicrosoftがOpenAIのAIワークロードのホスティングについて最初の選択権を持つが、Microsoftがニーズを満たせない場合は、OpenAIは他のクラウドプロバイダーを利用できることとなった。
Microsoftはブログ投稿で「OpenAIは最近、全OpenAI製品とトレーニングをサポートする新たな大規模なAzure契約を締結した」と述べている。さらに、「OpenAIのサポートを強化するため、MicrosoftはOpenAIが主にモデルの研究とトレーニングのために追加容量を構築することを承認した」としている。OpenAIは製品開発の遅延の原因を利用可能な計算能力の不足に求めており、計算能力の問題は密接な協力関係にある両社間の緊張関係の原因となっていると報じられている。2023年6月には、株主からの圧力を受けたMicrosoftが、OpenAIとOracleの追加容量契約を許可している。
長期的パートナーシップの継続と条件
Microsoftは、OpenAIとの長期的パートナーシップの「主要な要素」が2030年まで継続することを改めて強調した。これには、OpenAIのIP へのアクセス、収益分配の取り決め、OpenAIのAPIの独占的利用が含まれる。ただし、これは両社が合意した定義に基づく汎用人工知能(AGI)がそれまでに実現しないことが前提となる。報じられている両社間の契約によると、OpenAIが少なくとも1,000億ドル(約15兆円)の利益を生み出すAIシステムを開発した場合、Microsoftは同社の技術へのアクセスを失うとされている。なお、OpenAIはMicrosoftからの追加資金調達を確保するため、この契約を無効にすることを検討しているとも報じられている。
APIの独占性維持と今後の展開
「OpenAI APIはAzureに独占的に提供され、Azure上で動作し、Azure OpenAIサービスを通じても利用可能」とブログ投稿は述べている。「この契約により、顧客はMicrosoftプラットフォームとOpenAIから直接、主要なモデルにアクセスできる恩恵を受ける」としている。
引用元:TechCrunch
Microsoft is no longer OpenAI’s exclusive cloud provider