- Metaは公開AIモデル「Llama」の提供元と収益分配契約を結んでいることが裁判資料で明らかに
- ザッカーバーグCEOは以前「モデル販売はビジネスモデルではない」と発言していたが、収益化の可能性は示唆していた
- 著作権侵害訴訟の原告は、Metaが海賊版電子書籍をトレーニングに使用したと主張
- MetaはAI投資を増強し、2025年の設備投資は前年比で倍増の見込み
Metaの収益分配契約の実態
昨年7月のブログ投稿で、MetaのCEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、公開されているLlamaモデルへの「アクセス販売はMetaのビジネスモデルではない」と述べていた。しかし新たに開示された裁判資料によると、Metaはこれらのモデルを通じて少なくとも一部の収益を得ていることが明らかになった。
著作権侵害訴訟「Kadrey v. Meta」の原告弁護団が提出した資料によれば、Metaは同社のLlamaモデルを提供するパートナー企業がユーザーから得る収益の「一定割合を分配している」という。この訴訟では、Metaが数百テラバイトの海賊版電子書籍でLlamaモデルをトレーニングしたとして訴えられている。
主要テック企業との提携関係
裁判資料では具体的にどの提供元がMetaに支払いをしているかは明示されていない。しかしMetaは様々なブログ投稿で、AWS、Nvidia、Databricks、Groq、Dell、Azure、Google Cloud、Snowflakeなど多数のパートナー企業を挙げている。
開発者はパートナー企業を通じてLlamaモデルを利用する必要はなく、モデルはダウンロード、微調整が可能で、様々なハードウェアで動作させることができる。ただし多くの提供元は、Llamaモデルの実装をより簡単にする追加サービスやツールを提供している。
Zuckerberg氏の収益化に関する発言
ザッカーバーグ氏は昨年4月の決算発表で、Llamaモデルへのアクセスライセンスの可能性について言及し、ビジネスメッセージングサービスや「AI対話」における広告など、他の収益化方法も示唆していた。ただし具体的な内容は明らかにしていなかった。
「MicrosoftやAmazon、Googleのような企業がこれらのサービスを再販する場合、その収益の一部を得るべきだと考えている」とザッカーバーグ氏は述べた。「そのような契約を結ぶつもりであり、既に少し始めている」。
より最近では、ザッカーバーグ氏はLlamaからMetaが得る価値の大部分は、AI研究コミュニティによるモデル改善の形で得られると主張している。MetaはLlamaモデルを、同社のAIアシスタント「Meta AI」を含む複数のプラットフォームやサービスで活用している。
「オープンな方法でこれを行うことは、私たちにとって良いビジネスだと思う」とザッカーバーグ氏は2024年第3四半期の決算発表で述べた。「業界の誰も標準化していないモデルを単独で構築するよりも、私たちの製品を向上させることができる」。
著作権侵害訴訟への影響
Metaが直接的な形でLlamaから収益を得ているという事実は、「Kadrey v. Meta」訴訟において重要な意味を持つ。原告はMetaが海賊版作品をLlamaの開発に使用しただけでなく、これらの作品を「シード」(アップロード)することで侵害を促進したと主張している。原告らは、Metaがトレントの方法を用いて電子書籍を入手し、トレントの仕組み上、他のユーザーとそれらの電子書籍を共有したと申し立てている。
Metaの今後のAI投資計画
Metaは今年、AIへの投資増加に伴い、設備投資を大幅に増やす計画だ。1月の発表によると、同社は2025年に600億~800億ドル(約9兆〜12兆円)を設備投資に充て、これは2024年の約2倍の金額になる。主にデータセンターと同社のAI開発チームの拡大に充てられる予定だ。
これらのコストの一部を相殺するため、Metaは「Meta AI」の機能を拡張する有料サブスクリプションサービスの導入を検討しているとの報道もある。
引用元:TechCrunch
Meta has revenue sharing agreements with Llama AI model hosts, filing reveals