Meta、軍用複合現実ヘッドセット開発でAndurilと提携発表

Meta AI

  • Metaが軍事分野への本格参入、Andurilとの提携で220億ドル(約3兆円)軍事契約に参画
  • Reality Labs技術とLlama AIモデルを軍用XRデバイスに活用
  • 元Oculus創設者Palmer Luckey氏との和解、EagleEye製品ファミリー開発へ
  • 兵士向けリアルタイム戦場情報表示システムの実現目指す

Metaの軍事技術分野への戦略的参入

Metaは木曜日、防衛技術企業Andurilとの提携により、米軍向けの拡張現実(XR)デバイス開発に参入することを発表した。この提携により、MetaのReality Labs部門が蓄積してきたAR/VR技術が、初めて本格的に軍事用途に応用されることになる。

Metaにとって、この提携は軍事分野という新たな収益源への参入を意味する。同社のXR技術は、これまで主に消費者向けのQuestシリーズなどで展開されてきたが、今回の契約により軍事・防衛分野での活用が本格化する。

220億ドル規模IVAS契約への参画経緯

この提携は、総予算220億ドル(約3兆円)の大規模軍事契約であるSoldier Borne Mission Command(SBMC)Nextプログラムに基づいている。同プログラムは、以前は統合視覚拡張システム(IVAS)Nextと呼ばれ、兵士向けのHoloLensのようなARグラス開発を目的として2018年に当初Microsoftに授与された。

しかし、技術的問題が続いた結果、2月に陸軍はMicrosoftからプログラム管理を剥奪し、Andurilに移管した。これにより、Metaが軍用XRヘッドセット市場に参入するためには、Andurilとの協業が必要な状況となった。

MetaのReality Labs技術の軍事応用

開発されるデバイスは、MetaのAR/VR研究センターであるReality Labsの技術を基盤としている。具体的には、MetaのLlama AIモデルが活用され、Andurilの指揮統制ソフトウェアLatticeと統合される。この組み合わせにより、兵士にリアルタイムで戦場情報を提供するヘッドアップディスプレイシステムの実現を目指している。

MetaのXR技術は、民生用で培われた高度な画像処理、空間認識、AIインタラクション機能を軍事用途に転用することで、従来の軍事システムとは一線を画す使いやすさと性能を実現する見込みだ。

Palmer Luckey氏との歴史的和解

今回の提携は、Metaにとって象徴的な意味も持つ。Anduril共同創設者のPalmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏は、2014年にFacebookがOculusを20億ドル(約3,000億円)で買収した際の創設者であり、2017年に政治的見解を巡る騒動で同社を解雇された人物である。

「再びMetaと仕事ができることを嬉しく思う」とLuckey氏は声明で述べており、8年ぶりの協業復活となる。Metaにとって、優秀な技術者との関係修復と軍事分野への参入という二つの目標を同時に達成する戦略的提携となった。

EagleEye製品エコシステムの構築

MetaとAndurilが共同開発する製品ファミリーは「EagleEye」と名付けられ、デバイスのエコシステムとして展開される予定だ。EagleEyeは、Luckey氏がAnduril設立初期に構想していたヘッドセット名であり、今回の提携により実現に向けて動き出すことになる。

Metaの技術力とAndurilの軍事分野での専門知識を組み合わせることで、従来の軍事機器を大幅に上回る革新的なXRシステムの開発が期待される。

Metaの新たな成長戦略

今回の軍事分野参入は、Metaにとって消費者向けVR/AR市場以外での収益多様化戦略の一環とも言える。同社のReality Labs部門は巨額の投資を続けているが、軍事契約という安定した収益源の確保により、投資回収の加速が期待される。

Luckey氏は発表後にXで「この共同努力のためにすべてを手の届くところに持つことはかなりクールだ」と投稿し、和解の証として、AndurilがFacebookページを開設したことも明かした。

引用元: TechCrunch
In a victory for Palmer Luckey, Meta and Anduril work on mixed reality headsets for the military

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