- 韓国のゲーム開発企業KRAFTONが、開発中のライフシミュレーションゲーム『inZOI』で活用している生成人工知能(AI)技術に関する詳細な声明を発表した。
- コミュニティ内でAI活用に関する議論が高まっていることを受けたもので、使用したAIの学習データが「商用利用が許可された公開画像など」に基づいていることを明らかにした。
- KRAFTONは、開発における3つの原則(商用利用可能な技術の使用、許可データセットの使用、権利侵害への迅速な対応)を掲げている。
- ゲーム開発におけるAI活用は進む一方、ユーザー間では賛否が分かれている現状がある。
KRAFTON、『inZOI』でのAI活用方針を透明化
韓国のゲーム開発企業KRAFTONは5月14日、同社が手掛ける次世代ライフシミュレーションゲーム『inZOI』における生成人工知能(AI)技術の活用について、詳細な声明を公開した。これは、ゲームのコミュニティを中心に生成AI技術への関心と様々な議論が高まっていることを受け、「より明確な情報を届けるため」に行われた異例の対応である。
商用利用可能なデータで学習
『inZOI』は、テキストから画像を生成する「T2I」(Text to Image)や、映像から人の動きをモーションデータ化する「V2M」(Video to Motion)、3Dプリント用設計図の自動生成AIなど、複数のAI技術を開発に導入している。KRAFTONは、これらのAI技術の学習データについて具体的に言及した。
特にT2I技術については、「商用利用が許可された公開画像をもとに学習された生成型AI技術」であると説明。画像生成AIの開発には、商用利用および改変が可能なクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づく画像約2000万枚を選定し、独自のデータセットを構築したという。また、信頼性向上のためフィルタリングを適用するなどの工夫も施している。V2Mでは、同社が独自に収集・保有する170万件以上のモーションデータに加え、オープンライセンスのデータセットも活用。3Dプリント用AIも、同社保有または商用利用可能な約4万6000件の3Dモデルデータをもとに学習したとしている。
開発における3つの原則
KRAFTONは、生成AI技術を開発に活用するにあたり、以下の3つの原則に基づいていると説明した。
- 商用利用が可能なオープンソース技術の使用
- 商用利用が許可されたデータセットの慎重な選定と使用
- 権利侵害の可能性に備えた迅速かつ責任ある通報および審査システムの運用
ゲーム企業が、自社ゲームに使用するAIの学習データの内容についてこれほど具体的に言及するのは珍しい。これは、生成AIの利用を巡る著作権や倫理に関する懸念が高まる中で、透明性を高め、ユーザーの信頼を得るための試みと言える。
広がるゲーム分野でのAI活用とユーザーの反応
ゲーム開発における生成AIの活用は近年、国内外で急速に進んでいる。カプコンがGoogleのImagen 2を利用した事例や、コロプラの画像生成AI活用ゲーム「神魔狩りのツクヨミ」、同人サークル上海アリス幻樂団の「東方Project」シリーズでの一部AI使用など、活用例は相次いでいる。
しかし、その一方で、AI生成物の著作権問題や、人間のクリエイターの仕事への影響といった懸念から、ユーザー間ではAI活用に対する賛否が分かれているのが現状である。KRAFTONの今回の声明は、このような業界全体の議論の高まりを受けたものであり、他のゲーム会社にも影響を与える可能性がある。
KRAFTONは、人気バトルロイヤルゲーム『PUBG: BATTLEGROUNDS』などで知られる企業であり、今後も『inZOI』を含むゲーム開発で生成AIを活用していく方針を示している。
引用元:Yahoo!ニュース(ITmedia AI+)
ゲーム開発に使うAIは「商用可能な画像で学習」 韓国ゲーム企業が“異例”の声明 「議論の高まり」受け
引用元:GameBusiness.jp
次世代ライフシム『inZOI』生成AI技術は商用利用可のデータを使って開発している―開発チームが声明公開