記事のポイント
- OpenAIのSora共同開発者Tim Brooks氏が2024年1月に新チームのリーダーに就任
- 物理世界のシミュレーションを実現する大規模生成AIモデルの開発に着手
- Gemini、Veo、Genieの3つの主要AIチームとの緊密な連携を計画
- 2026年までに映像業界で予測される10万人以上の雇用への影響が懸念材料に
開発体制と目標
GoogleのAI研究部門DeepMindは、2024年1月、物理世界のシミュレーションを行うAIモデルの開発チームを新設した。チームリーダーには、OpenAIの革新的な動画生成AI「Sora」の共同開発責任者だったTim Brooks氏が就任。Brooks氏は2023年10月にGoogleへ移籍し、わずか3ヶ月での新チーム立ち上げとなった。Xでの発表で「DeepMindは世界をシミュレートする大規模生成モデルの開発に野心的な計画を持っている」と述べている。
DeepMind has ambitious plans to make massive generative models that simulate the world. I’m hiring for a new team with this mission. Come build with us!https://t.co/pqvALtAvLs https://t.co/vtwgeXl9Dl
— Tim Brooks (@_tim_brooks) January 6, 2025
技術統合への取り組み
新チームは、Googleの最新フラッグシップAIモデル「Gemini」、2023年後半に開発が加速した動画生成モデル「Veo」、そして2023年12月にデモを公開したリアルタイム3D環境シミュレーションモデル「Genie」との連携を進める。特にGenieは、プレイ可能な3Dワールドをリアルタイムで生成する能力を実証しており、新チームの開発方針に大きな影響を与えている。
求人情報では、「動画とマルチモーダルデータを用いたAI学習の拡大が、汎用人工知能(AGI)への重要な道筋である」と明記。具体的な応用分野として、視覚的推論とシミュレーション、実体のある物体の動作計画、リアルタイムでのインタラクティブなエンターテインメントを挙げている。
競合状況と市場動向
世界モデル開発の分野では、AI研究者のFei-Fei Lee氏が率いるWorld Labs、イスラエルのスタートアップDecart、Odysseyなど、複数の企業が開発を進めている。特にOdysseyは、クリエイティブ専門家との協力を重視する姿勢を示しており、業界内での差別化を図っている。
産業界への影響と具体的な課題
Animation Guildが2024年初頭に発表した調査によると、2026年までに米国の映像・アニメーション業界で10万人以上の雇用がAIによって影響を受けると予測。既にActivision Blizzardなどの大手ゲームスタジオでは、AIを活用した業務効率化と人員削減が進められている。
著作権に関する課題も具体化しており、特にゲームプレイ映像の学習利用が問題視されている。Googleは、YouTubeの利用規約(2024年1月改訂)に基づき動画使用の許可を得ているとしているが、具体的な使用動画のリストは非公開のままとなっている。
引用元:TechCrunch
Google is forming a new team to build AI that can simulate the physical world