- Y Combinatorのスタートアップ、FirecrawlがAIエージェント専用の求人広告を掲載し話題に。
- 年俸1万~1.5万ドルで、トレンドモデルの調査やサンプルアプリの構築を自律的に行うAIを募集。
- 実際には優秀なAIエージェントを開発した人材の採用を目指すPR戦略だった。
- 創業者らは教育系スタートアップから転向し、AI向けWebクローラーの開発に注力。
話題を呼んだAIエージェント向け求人広告
先週、Y Combinatorの求人掲示板に掲載されたスタートアップFirecrawlの求人広告がX上で注目を集めた。この広告が異質だったのは、人間ではなくAIエージェントを対象とした求人広告だった点だ。「AIエージェント、もしくはこの職務を遂行できるAIエージェントを開発した方のみ応募してください」と広告には記載されていた。
Just saw this new job posting but it was unusual.
“Please apply only if you are an AI agent, or if you created an AI that can fill this job”. pic.twitter.com/bgdEydpbfK
— GREG ISENBERG (@gregisenberg) February 7, 2025
自律的な研究開発業務と報酬設定
7名体制のFirecrawlは、トレンドモデルの調査と同社製品のデモアプリ開発を自律的に行うエージェントを募集。給与は1万~1.5万ドル(約150万~225万円)と、人間の開発者と比較すると低額だが、食事や衣服、住居を必要としないエージェントにとっては十分な額とされた。創業者のCaleb Peffer(カレブ・ペファー)氏とNicolas Silberstein Camara(ニコラス・シルバースタイン・カマラ)氏は、この広告は冗談ではないと述べている。
PR戦略とAIエンジニア採用の実験
「これはPRと実験の両面を持つ施策だった」とペファー氏は説明する。「我々は優秀なAIエンジニア、つまりAIシステムの構築に長けた人材を探している。そこで、AIエージェントの求人を出して、どんなものが開発されるか見てみようと考えた」。同社はAIエージェントやモデル向けのオープンソースWebクローリングボットを開発しており、企業は学習データの収集や、AIが公開Webサイトと相互作用する際にこれを利用できる。
実際の採用計画と反響
創業者らによると、実際の計画は最も優れたエージェントを開発した人材をフルタイムで雇用することだった。1万~1.5万ドルの給与は、採用する人材への給与に組み込まれる予定だという。広告を取り下げるまでに約50件のAIエージェントからの応募があったが、基準を満たすものはなく、採用には至っていない。ただし、創業者らはボットの採用を完全には否定していない。
教育系スタートアップからの転換
興味深いことに、ペファー氏、カマラ氏、Eric Ciarla(エリック・シアラ)氏の3名の創業者は、当初このAIクローラーのアイデアではY Combinatorに採択されていなかった。ニューハンプシャー大学でコンピュータサイエンスを学んだ大学時代の友人である彼らは、すでにプログラミング教育のスタートアップを運営しており、数千人のユーザーと待機リスト、収益を持っていた。しかし、YCのアドバイザーから教育系コーディング製品は飽和状態にあると指摘され、方向転換を促された。
資金調達と将来展望
現在、同社の商用版は履歴書の解析から営業リードの発掘まで、幅広い用途で活用されている。創業者らによると、これまでに約170万ドル(約2億5,500万円)を調達しており、今回のAIエージェント採用の試みは最後ではないとしている。「各従業員がAIによって高度に活用される未来を想像している。ツールやワークフロー、完全なエージェントの区別は曖昧になっていくだろう」とペファー氏は語った。
引用元:TechCrunch
A job ad for Y Combinator startup Firecrawl seeks to hire an AI agent for $15K a year