防衛省、AI活用防衛装備品の研究開発ガイドライン策定 LAWSなど危険性考慮
- 防衛省は6月6日、AIを活用した防衛装備品の適切な研究開発を目的としたガイドラインを策定した。
- このガイドラインでは、人間が制御不能となる恐れのある装備品や、国際法に反する無差別・過剰な攻撃につながる装備品の研究開発は不適切とし、中止する方針を示している。
- 中谷防衛大臣と林官房長官は、防衛力強化のためのAI活用を進める一方で、リスク軽減と国際的な議論との整合性を重視する姿勢を強調した。
防衛省は6月6日、人工知能(AI)を活用した防衛装備品の取り扱いに関し、適切な研究開発を進めるためのガイドラインを新たに策定した。省人化の観点からAI装備品の研究開発は進められる一方、人間の関与なしに標的や方法を判断して攻撃する自律型致死兵器システム(LAWS)の危険性が指摘される中での対応となる。
人間による制御不能な装備品は不適切と判断
今回策定されたガイドラインは、AIがもたらすリスクを抑制しつつ、その利点を生かした研究開発を適切に推進することを目的としている。
ガイドラインでは、破壊能力が高い装備品を特にリスク管理の重点対象と定め、法的・政策的な観点と技術的な観点の双方から専門家の協力を得て審査を実施する方針だ。
その上で、国際法などが禁じる無差別で過剰な攻撃につながる装備品や、技術的に人間が制御不能となる恐れがある仕組みの装備品は不適切と判断し、研究開発を中止するなどの措置をとると明記した。
防衛大臣・官房長官が姿勢を強調
中谷防衛大臣は閣議後の記者会見で、「防衛力の維持・強化のため、防衛省としてもAIの活用を進める。ガイドラインに沿い、責任あるAI装備品の研究開発を進めていく」と述べ、AI活用の推進と責任ある開発の両立を図る姿勢を示した。
林官房長官も午後の記者会見で、「新しい戦い方に対応し、防衛力を維持・強化するためにも安全保障分野でのAIの活用は重要だ」との認識を表明。同時に、「研究開発に際しては国際法と国内法を順守し、自律型致死兵器システムなどに関する国際的な議論と整合する形で進める必要がある」と強調した。また、今回のガイドラインが「AIの活用に伴うリスクを軽減しながら恩恵を最大化できるよう策定されたもの」であり、「責任ある研究開発を推進していく」と述べた。
今回のガイドライン策定は、AI技術の軍事転用が進む国際情勢において、日本が倫理的・法的な枠組みの中でAI装備品の開発を進める姿勢を明確にしたものとみられる。
引用元:
- NHKニュース:AI活用の防衛装備品 適切な研究開発へガイドライン策定 防衛省