- AnthropicがOpenAIの政府向け1ドルサービスに対抗し、Claudeを行政・立法・司法の全3機関に年1ドルで提供すると発表
- OpenAIのChatGPT Enterpriseが行政機関のみを対象とするのに対し、Anthropicはより広範囲をカバー
- Claude for GovernmentはFedRAMP High認証を取得し、機密性の高い政府データの処理が可能
- マルチクラウド対応によりAWS、Google Cloud、Palantirとの連携でデータ主権を強化
OpenAIの政府向けサービスに対する戦略的対抗策
OpenAIが先週、連邦行政機関の全職員に対してChatGPT Enterpriseを1機関あたり年1ドルで提供すると発表してからわずか1週間後、AnthropicがOpenAIに対抗する大胆な策を打ち出しました。
同社は8月12日(火)、政府機関に対してClaudeモデルをわずか1ドルで提供すると発表しましたが、その対象範囲はOpenAIを上回っています。Anthropicは行政機関だけでなく、米国政府の「全3機関」、すなわち立法機関と司法機関も含む包括的なサービスを展開します。
Anthropicによると、このパッケージは1年間利用可能とのことです。
GSAの承認AI事業者リストへの追加
この動きは、OpenAI、Anthropic、Google DeepMindが連邦政府一般調達庁(GSA)の承認AI事業者リストに追加され、民間連邦機関にサービスを販売できるようになった後に発表されました。TechCrunchはGoogleに対し、AnthropicとOpenAIの挑戦に同様に対応する計画があるかどうか問い合わせています。
OpenAIの競合他社を締め出そうとする試みに対するAnthropicのエスカレーションは、連邦政府のAI利用における同社の足がかりを広げることを意図した戦略的な動きです。
公共部門向けAIアクセスの拡大
Anthropicは声明で次のように述べています:「米国の公共部門は、科学研究から住民サービスまで、複雑な課題に取り組むために最先端のAI機能にアクセスできるべきです。幅広いアクセシビリティと妥協のないセキュリティ標準を組み合わせることで、AIが公共の利益に貢献することを確実にしています。」
Claude for EnterpriseとClaude for Government
AnthropicはClaude for EnterpriseとClaude for Governmentの両方を提供します。後者はFedRAMP High workloadsをサポートしており、連邦職員が機密性の高い非分類作業でClaudeを使用できるようになります。
FedRAMP Highは、非分類の機密政府データを処理するための連邦リスク・認証管理プログラム(FedRAMP)内の厳格なセキュリティベースラインです。
同社によると、Anthropicは機関がAIツールをワークフローに統合するための技術サポートも提供します。
国防総省からの2億ドル支援と幅広い政府利用
AnthropicはOpenAI、xAI、Googleとともに、国家安全保障のためのAI活用で国防総省から最大2億ドル(約300億円)の支援を受けていますが、同社は明らかに科学研究や保健サービスを含むより幅広い政府業務への統合を希望しています。
Anthropicはプレスリリースで、Claudeが既にローレンス・リバモア国立研究所で科学的発見を加速するために使用されており、またコロンビア特別区保健局で住民が複数の言語で保健サービスにアクセスできるよう支援していることを指摘しました。
政府最高水準のセキュリティ標準への対応
Anthropicは、Claudeが「政府の最高セキュリティ標準を満たしている」ため、このような展開が可能だと述べています。FedRAMP High認証の取得に加えて、顧客はAWS、Google Cloud、Palantirとのパートナーシップを通じて既存の安全なインフラストラクチャ経由でClaudeにアクセスでき、データをより詳細にコントロールできます。
マルチクラウド戦略の競争優位性
Anthropicのマルチクラウドアクセスは、OpenAIとの競争において優位性をもたらす可能性があります。OpenAIの現在の公式FedRAMP High提供サービスはAzure Government Cloudのみに限定されています。
Azureは政府で広く採用されていますが、一部の政府機関やセキュリティチームは、マルチクラウド戦略が提供するデータ主権、インフラストラクチャ制御、運用上の柔軟性を優先する可能性があります。
ただし、OpenAIもAzureへの依存を減らし、より多様化されたインフラストラクチャアプローチを採用するために積極的に取り組んでいます。
まとめ
AnthropicとOpenAIの政府向けAIサービス競争は、米国政府のデジタル変革において重要な転換点を示しています。両社の1ドル価格戦略は、公共部門でのAI導入を加速させる一方で、セキュリティ、アクセシビリティ、インフラストラクチャの柔軟性といった要素が今後の競争の鍵となりそうです。
引用元: TechCrunch「Anthropic takes aim at OpenAI, offers Claude to ‘all three branches of government’ for $1」
https://techcrunch.com/2025/08/12/anthropic-takes-aim-at-openai-offers-claude-to-all-three-branches-of-government-for-1/