ネットでのAIなりすまし対策、瞳の虹彩で人間を証明するサムアルトマン氏の新技術とは

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  • 生成AIの普及により、インターネット上でのAIによる「なりすまし」投稿や広告が深刻な問題となる中、その対策として新たな人間証明システムが導入されつつある。
  • 「ChatGPT」を開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOが率いるWorldという企業が開発したこのシステムは、Orbと呼ばれる専用機器を用い、瞳の虹彩を撮影・認証し、暗号化されたIDを発行することで実在する人間であることを証明する。
  • これまでに世界で1200万人が登録しており、年末までにアメリカで7500台、日本でもおよそ1000台のOrb設置が目標とされ、将来的には金融やSNSサービスとの連携も視野に入れている。
  • World側はプライバシー保護を強調する一方で、ニューヨーク・タイムズ紙はプライバシー侵害への懸念から香港やスペインなどで利用禁止の動きが出ていると報じており、議論が続いている。

生成AI時代の「なりすまし」問題と対策の必要性

生成AIの急速な普及に伴い、インターネット上ではAIによる「なりすまし」投稿や広告が深刻な問題となっている。AIの性能がさらに向上すれば、AIと人間との区別が不可能になる恐れも指摘されており、オンラインにおける情報の信頼性低下が懸念されている。

こうした状況に対し、新たな対策が講じられつつある。「ChatGPT」を開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOが共同創業者兼会長を務めるWorldcoin(現在はWorld, Tools for Humanity)という企業は、インターネットの利用者が人間であることを証明するシステムの開発を進めており、その技術がこのほど日本でも紹介された。

「瞳の虹彩」を用いた人間証明システムとOrbの展開

このシステムは、Orb(オーブ)と呼ばれる人の頭ほどの大きさがある専用機器を用いて、虹彩と呼ばれる瞳の模様を撮影・認証する。認証後、暗号化されたIDが発行され、これにより利用者が実在する人間であることが証明される仕組みだ。すでに世界中で1200万人がこのシステムに登録を済ませているという。

Worldは、Orbの設置を急速に進める計画で、アメリカでは年末までに7500台、日本でも今後およそ1000台の設置を目標としている。将来的には、金融サービスやSNSなど、多様なオンラインサービスと連携させ、より広範な領域での人間証明に活用していく方針だ。

プライバシー保護と広がる懸念

一方で、このWorldcoinのシステムに対してはプライバシー保護に関する懸念も示されている。World側は、取得した虹彩データは書き換えができない形で暗号化され、専用機器であるOrbから即座にデータが削除されるため、プライバシーは保護されると説明している。

しかし、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、プライバシー侵害への懸念から、香港やスペインなどでこのシステムの利用が禁止されるといった動きが出ていると報じている。生体情報の中でも特に高い精度を持つ虹彩データの扱いは、各国で異なる規制や国民感情を呼び、国際的な議論の的となっている。

Tools for Humanity日本代表の牧野友衛氏は、「インターネットの情報そのものが何も信頼できない時代が来る可能性がある。これから必要なサービスになると思う」と述べ、来るべき情報社会における信頼性の確保の重要性を強調した。

引用元:NHK
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