- Mistralが商業戦略を加速し、オープンソースAIモデルで市場参入
- 企業向けの新たなAI製品を発表し、競争力を強化
- 投資家からの関心が高まり、成長戦略が注目される
Mistral、オープンソースAIモデルで市場参入
フランスのAI企業Mistral(ミストラル)は、オープンソースAIモデルを活用し、商業展開を本格化させている。同社は、競争の激しいAI市場で独自の地位を確立することを目指している。
Mistralは、ヨーロッパを代表する人工知能企業の1つであり、現在、いくつかのオープンウェイトモデルをリリースしている。大規模言語モデル(LLM)、生成AI、およびそのオープンソースアプローチへの多くの関心を背景に、非常に短い時間で10億ドル以上を調達することに成功した。
今、ミストラルは商業展開に真剣に取り組んでいるようだ。
Le Chatのフランスでの成功
先週、同社は消費者と企業クライアントの両方向けに設計されたAIアシスタントであるLe ChatをiOSとAndroidでリリースした。
フランスのマクロン大統領は日曜日の夜のテレビインタビューで「OpenAIのChatGPTなどではなく、Mistral製のLe Chatをダウンロードしてください」と述べ、「私たちは、Mistralとフランスに投資し、パートナーシップを発展させたいと考えています。ダウンロードすると、ヨーロッパのチャンピオン、フランスのチャンピオンを助けることになります。ここで雇用を創出するだけでなく、雇用をより強くするのです。」と前例のない支援の声を発した。
Le Chatは現在、フランスで最もダウンロードされているiOSアプリとなっている。しかし、このアプリは他のヨーロッパ市場ではあまり普及しておらず、現在、ドイツでは66位、スペイン、イタリア、英国ではトップ100アプリにもリストされていない。
企業向けの新AI製品を発表
Mistralは企業向けの新たなAI製品を発表し、ビジネス用途での活用を促進している。特に、生成AI技術の活用を重視し、多様な産業向けのソリューションを提供する予定だ。
投資家からの関心が高まる
急成長するAI市場の中で、Mistralは投資家からの注目を集めている。同社の成長戦略が、今後のAI業界に与える影響が期待される。
エンタープライズ市場での展開
Mistralは、エンタープライズ市場を収益の柱と位置づけ、企業向けAIソリューションの提供を強化している。同社の技術はフランスの国営雇用機関France Travailや、環境サービス企業Veoliaで活用されている。
Stellantis(ステランティス)の会長John Elkann(ジョン・エルカーン)氏は、Mistralとの広範な提携を発表。2025年末までに、プジョー、シトロエン、フィアット、ジープなどのブランドのモバイルアプリにMistralのAIアシスタントを導入し、車載マニュアルを置き換える予定だ。
また、欧州の戦闘機の攻撃ドローンと電子部品に取り組んでいる欧州の防衛企業Helsing(ヘルシング)との提携も発表されていおり、Mistralが防衛分野でも協力していることが明らかとなった。
Le Chatは、カスタムモデルとカスタムユーザーインターフェースを使用して、顧客環境にデプロイすることが可能となっている。防衛や銀行業務に携わっている場合は、オンプレミスでAIアシスタントのデプロイが必要となる場合があるが、その要望にも対応可能となる。これは現在、ChatGPT EnterpriseまたはClaude Enterpriseでは不可能である。
独自のデータセンター建設計画
Mistralは数十億ユーロを投じ、フランス・エソンヌにAIデータセンターを建設予定。これにより、さらなるAIシステムの開発を加速させる狙いだ。
データセンター建設について詳細はまだ不明だ。Mistralがサードパーティのパートナーと協力してデータセンターに資金を提供するのか、それともデータセンターを自分で構築するための新たな資金調達を行うのかは不明となっている。
後者の場合、Mistralは、高速推論を専門とするアメリカのAI企業であるCerebrasからインスピレーションを得るかもしれない。Cerebrasは、すでに Mistralと協力してチャットボット製品であるLe Chatの回答を高速化している。今後の展開に注目したい。
引用元:TechCrunch
Mistral gets down to business