- Scale AIのCEO、Alexandr Wang氏がワシントンポスト紙の全面広告でトランプ政権へのAI投資拡大を要請。
- 中国とのAI開発競争を「AI戦争」と位置付け、米国の競争力維持に向けた5つの施策を提案。
- データとコンピューティング能力への投資拡大、規制見直し、連邦機関のAI対応などを提言。
- 一部専門家からは「戦争」という表現への懸念も表明される。
Scale AI CEOによる公開書簡の概要
Scale AIのCEO、Alexandr Wang(アレクサンダー・ワン)氏は、ワシントンポスト紙に全面広告を掲載し、トランプ政権に対してAIへの投資拡大を求める公開書簡を発表した。他のテック企業CEOと同様にトランプ大統領の就任式に出席したWang氏は、Xプラットフォーム上で「親愛なるトランプ大統領へ、アメリカはAI戦争に勝利せねばならない」という広告文面を公開した。
1/ New Administration, same goal: Win on AI
Our ad in the Washington Post, January 21, 2025
After spending the weekend in DC, I’m certain this Administration has the AI muscle to keep us ahead of China.
Five recommendations for the new administration 🧵 pic.twitter.com/m0v3WgA4FR
— Alexandr Wang (@alexandr_wang) January 21, 2025
提案された5つの重要施策
オンラインで公開された書簡の全文で、Wang氏は中国との「AI戦争」に勝利するための5つの広範な施策を提案している。これには、テクノロジー巨大企業に倣ったデータと計算能力への投資拡大、将来のAI関連雇用を確保するための規制見直し、2027年までに連邦機関の「AI対応」を完了させること、AI中心のデータセンター向けの「積極的な」低価格電力供給計画の開始、そしてAI安全対策の実施方法に関する提案が含まれる。なお、Scale AIは大規模組織向けのAIプロジェクト用データラベリングと処理を主要事業としており、昨年の企業価値は138億ドル(約2兆700億円)と評価されている。
Scale AIへの潜在的影響と中国との競争
これらの提案の一部は、Scale AI自身にも利益をもたらす可能性がある。同社は既に米国政府を顧客に持ち、米国防関連のスタートアップコンソーシアムの一員とされている。また、契約労働者に大きく依存する同社にとって、規制緩和やAI関連雇用の促進は有益となる可能性がある。ただし、最近では一部の契約労働者から雇用区分の誤分類に関する訴訟が提起されている状況だ。
専門家からの反応と今後の展開
Wang氏は提案を、AIにおける米国の中国に対する優位性維持の取り組みとして位置付けている。書簡では「我々は新しい形の技術軍拡競争の中にいる。中国政府は前例のないペースでAIに投資している」と述べている。DeepSeekなどの中国のモデルは、特定の業界ベンチマークで高い性能を示し注目を集めている。Wang氏は、中国が1年以上遅れていた状況から米国に追いつきつつあると指摘しており、この見解は他のAIリーダーたちからも同様の指摘がなされている。しかし、米中AI競争を「戦争」として位置付けることへの懸念も示されている。
2023年に一時期OpenAIのCEOを務めた元Twitch CEO、Emmett Shear(シェア)氏は「これは恐ろしい位置付けだ。我々は戦争状態にはない。我々は皆この状況を共に乗り越えていく必要があり、AI開発を戦争にしてしまえば、皆が破滅することになりかねない」と投稿している。トランプ政権の対応は今後明らかになる見通しだ。これまでのところ、トランプ大統領のAIに関する主な行動は、企業がモデルの欠陥やバイアスを修正するためのガイダンスを定めた前政権の大統領令を撤回したことにとどまっている。
引用元:TechCrunch
Scale AI’s Alexandr Wang has published an open letter lobbying Trump to invest in AI