- Anthropicとの集団訴訟で50万人のライターが最低3,000ドル(約45万円)の支払い対象
- 米国著作権法史上最大の15億ドル(約2,250億円)和解も作家にとっては勝利ではない
- AI訓練ではなく「影の図書館」からの違法ダウンロードに対する手首への平手打ち程度の処罰
- 連邦判事が著作権素材でのAI訓練を「変革的利用」として合法判断、今後の判例となる可能性
米国著作権法史上最大の15億ドル和解成立
作家グループがAnthropic社に対して起こした集団訴訟における歴史的な15億ドル(約2,250億円)の和解により、約50万人のライターが最低3,000ドル(約45万円)の支払いを受ける資格を得る。
この画期的な和解は米国著作権法史上最大の支払額を記録するが、これは作家の勝利ではない。テック企業の新たな勝利である。
テック巨大企業のLLM訓練データ収集競争
テック大手は、ChatGPTやClaude等の画期的なAIチャット製品を支えるLLMを訓練するために、可能な限り多くの文書資料を蓄積する競争を繰り広げている。これらは、その出力が平凡なものであっても、クリエイティブ産業を危険に晒している同じ製品である。これらのAIはより多くのデータを取り込むことでより洗練されるが、基本的にインターネット全体をスクレイピングした後、これらの企業は文字通り新しい情報が不足している。
Anthropicの「影の図書館」からの違法ダウンロード
だからこそ、Claudeの背後にいるAnthropic社は「影の図書館」から数百万冊の書籍を海賊版でダウンロードし、そのAIに供給した。この特定の訴訟「Bartz v. Anthropic」は、著作権作品でのAI訓練の合法性を巡って、Meta、Google、OpenAI、Midjourneyなどの企業に対して提起された数十件の訴訟の一つである。
AI訓練ではなく海賊版ダウンロードが争点
しかし、ライターがこの和解を受けているのは、彼らの作品がAIに供給されたからではない。これは書籍を購入する代わりに違法にダウンロードしたことに対する、130億ドル(約1兆9,500億円)を調達したばかりの企業への費用のかかる手首への平手打ちに過ぎない。
連邦判事William Alsup氏の「変革的利用」判決
6月、連邦判事William Alsup(ウィリアム・アルサップ)氏はAnthropic側を支持し、著作権素材でAIを訓練することは実際に合法であると裁定した。判事は、この使用例が1976年以来更新されていない著作権法の抜け穴であるフェアユース原則によって保護されるのに十分「変革的」であると主張している。
「作家志望の読者と同様に、AnthropicのLLMは作品を複製または代替するために先走って訓練されたのではなく、急角度で方向転換し、何か異なるものを創造するためだった」と判事は述べた。
Alsup判事が裁判に持ち込む動機となったのは海賊版行為であり、AI訓練ではなかったが、Anthropicの和解により、もはや裁判は不要となった。
Anthropic法務担当者の声明
「本日の和解は、承認されれば原告の残る従来の請求を解決する」とAnthropic副法務顧問のAparna Sridhar(アパルナ・スリダール)氏は声明で述べた。「我々は人々や組織が能力を拡張し、科学的発見を進歩させ、複雑な問題を解決するのを助ける安全なAIシステムの開発に引き続きコミットしている。」
今後のAI著作権訴訟への判例影響
AIと著作権作品の関係を巡る数十の訴訟が法廷に持ち込まれる中、判事たちは今やBartz v. Anthropicを先例として参照できる。しかし、これらの決定の影響を考慮すると、別の判事が異なる結論に到達する可能性もある。
引用元: TechCrunch Screw the money — Anthropic’s $1.5B copyright settlement sucks for writers
https://techcrunch.com/2025/09/05/screw-the-money-anthropics-1-5b-copyright-settlement-sucks-for-writers/