- ベンチャーキャピタリストMary Meeker氏が340ページのAIトレンドレポートを発表、51ページで「前例なし」と表現
- ChatGPTが17カ月で8億ユーザーに到達、AI推論コストは2年間で99%削減という驚異的な進展
- Nvidiaの2024年Blackwell GPUは2014年Kepler GPUの105,000倍の電力効率を実現
- 金銭的リターンのみAI革命が他の技術革命を上回らない唯一の分野として指摘
Mary Meeker氏による「前例なき」AI革命の詳細分析
AI(人工知能)の普及が過去に経験したモバイル、ソーシャル、クラウドコンピューティングなどの技術革命と違って感じられるなら、それは実際に違うからだ。ベンチャーキャピタリストのMary Meeker(メアリー・ミーカー)氏が340ページに及ぶスライドショーレポートを発表し、AIが開発、採用、投資、利用される速度を数々のチャートで裏付けながら説明している。同レポートでは「前例なし(unprecedented)」という言葉が51ページで使用されている。
“「人工知能技術の進歩に関連する変化のペースと範囲は、データに裏付けられているように、確実に前例がない」”と、「Trends — Artificial Intelligence」と題されたレポートで同氏は述べている。
この種のレポートを書く人物には詩的な歴史がある。Meeker氏はVCファームBondの創設者兼ゼネラルパートナーで、かつて年次インターネットトレンドレポートで「インターネットの女王」として知られていた。Bond設立前は2010年から2019年までKleiner Perkinsの成長事業部門を運営し、Facebook、Spotify、Ring、Block(当時Square)などの企業を支援していた。
ChatGPTの爆発的ユーザー成長と前例なき普及速度
Meeker氏は2019年以降トレンドレポートを発表していなかったが、AI普及が人類史上他のあらゆる技術を上回っていることを詳細に記録するためスキルを復活させた。ChatGPTが17カ月で8億ユーザーに到達したことは前例がない。多数の企業が高い年間継続収益率を達成している数と速度も前例がないという。
利用コストが下がる速度も前例がない。モデル訓練コストは最大10億ドル(約1,540億円)と前例がないものの、推論コスト(技術利用料を支払う側のコスト)は100万トークンあたりの計算で2年間ですでに99%下落したと、スタンフォード大学の研究を引用して記している。
競合他社が機能を相互に模倣する速度も、オープンソースオプション、特に中国モデルを含めてコストの一部で実現していることも前例がない。例えば、Nvidia(エヌビディア)の2024年Blackwell GPUは、同社の2014年Kepler GPU前身モデルよりトークンあたり105,000倍少ないエネルギーを使用していると指摘している。
Google TPUとAmazon Trainiumによるチップ開発競争
一方、GoogleのTPU(テンソル処理ユニット)やAmazonのTrainiumなどのチップも、クラウド向けに大規模開発が進められており、これも急速に進歩している。”「これらはサイドプロジェクトではなく、基盤的な賭けだ」”とMeeker氏は記している。
AIが他のすべての技術革命を上回っていない唯一の分野は金銭的リターンである。VCが可能な限り早くAIに資金を注いでいる一方で、AI企業とクラウドサービスプロバイダーも現金を燃やし続けている。AIはインフラへの大規模投資を必要とするためだ。
消費者と企業にとっての恩恵と長期的収益性への課題
これは競争がコストを下げながら急速な改善の恩恵を受ける消費者と企業にとって良いことだとMeeker氏は指摘している。しかし、現在の企業群のうちどれが長期的で収益性のある次世代技術巨人になるかについては判断が保留されている。”「現在のAI志願者がお金を稼ぐ方程式のどちら側に着地するかは、時間だけが教えてくれる」”と同氏は記している。
我々その他の人々については、帽子をしっかりと押さえておく必要がある。
引用元: TechCrunch
It’s not your imagination: AI is speeding up the pace of change