- 国内の婚活大手IBJと日本マイクロソフトが連携し、AIを活用したお相手紹介、お見合い練習、仲人サポートといった新サービスの開発を進めている。
- AIによる効率的で効果的な婚活支援が期待される一方で、マッチングサービスでのAI活用には、AI加工写真による欺瞞や、意図しない個人情報流出、サイバー攻撃の巧妙化といった潜在的なリスクが指摘されている。
- 利用者は、AIサービスにおける個人情報収集・共有のポリシーを詳細に確認し、写真からの情報漏洩対策や、チャットボットへの安易な個人情報共有を避けるなど、自己防衛策を講じる重要性が増している。
国内最大級の成婚数を誇る株式会社IBJと日本マイクロソフト株式会社は、AI技術を活用した新サービスリリースに向けた連携を発表した。IBJが保有する膨大な婚活データとマイクロソフトの最先端AI技術を融合させることで、より効率的で効果的な婚活支援の実現を目指すという。しかし、マッチングサービスにおけるAIの急速な普及は、利便性向上と同時に、新たなリスクも引き起こしている現状が指摘されている。
婚活サービスにおけるAI活用の進展
IBJと日本マイクロソフトは、AIによる以下の新サービスの提供を予定している。
- AIによるお相手紹介機能:婚活会員の活動データや成婚データを解析し、「成婚になりやすい」「交際に進みやすい」「お見合いが組みやすい」といった条件でAIが最適なお相手を自動的に提案する。これにより、会員は効率的に理想のお相手を見つけ、成婚の可能性を高めることが期待される。
- お見合い練習相手サービス:初対面の相手とのコミュニケーションに不安を感じる会員向けに、AIがリアルな会話を再現するお見合いシミュレーションを提供。実践的な練習を通じて、本番のお見合いに自信を持って臨めるようサポートする。
- AIによる仲人業務のサポート:将来的には、仲人業務の一部をAIが支援することで、仲人が業務効率を高め、一人ひとりの会員に寄り添う時間を増やすことを目指している。
この連携は、従来の婚活システムを革新し、会員と仲人双方に新たな価値提供を目指すものとされている。
AI活用に伴う潜在的なリスクと懸念
生成AIはマッチングサービスにおいて広がりを見せる一方で、その利用には潜在的なリスクが伴う。消費者向けサイバーセキュリティ対策を提供するノートンが日本を含む世界12カ国で実施した調査によると、73%の人がAIで加工した写真に抵抗を感じるとしながらも、25%がSynthesiaのようなリアルなAIアバターをマッチングサービスで利用した経験があり、36%はAIで加工された写真や音声メッセージを見破れないと回答している。ユーザーがAIによる「盛り」を嫌がる一方で、自分を偽る目的(写真加工、プロフィール作成など)で生成AIを利用したいと考える人が5割を超えるという実態も明らかになっている。
ノートンは、AIのプライバシーリスクについて注意喚起を促している。多くのAIサービスは厳重なセキュリティ対策が組み込まれているが、サービスによっては収集した個人情報をシステムの改善や「信頼できるサービス・厳選されたプロバイダーのグループ」との情報共有に利用する可能性があるため、サービスポリシーをよく確認することが重要だ。
引用元:
- 株式会社IBJのプレスリリース:【婚活業界に革新を!】日本マイクロソフトとIBJが連携。AIを活用した新サービスリリースを目指す。
- ITmedia AI+:婚活サービスにAI導入 「成婚しやすいマッチング」など……MSとIBJが連携
- Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン):恋愛マッチングの罠 「AI盛った写真」に潜む個人情報流出リスク