- 最新の国際調査報告書によると、中国の回答者の人工知能(AI)に対する信頼度と受容度が、調査対象となった47の国・地域の平均を大きく上回っていることが判明した。
- 特に中国の職場におけるAI応用率は93%に達し、利用者の半数が日常的にAIを利用するなど、他国と比較してAIの浸透が進んでいる状況が明らかになった。
- この高い受容度は、中国政府がAI発展の基盤を築き、セキュリティ管理を強化していることや、「AIプラス」活動などの推進策が背景にあると見られている。
- 調査研究者は、AIが新興国において経済成長やメリットをもたらしている可能性を示唆している。
国際調査報告書が示す中国の高いAI受容度
このほど発表された「世界人工知能信頼・態度・応用調査報告書(2025)」により、中国における人工知能(AI)の受容度と信頼度が、世界の平均水準を著しく上回っている現状が明らかになった。この報告書は、オーストラリアのメルボルン大学のニコル・ギレスピー(ニコル・ギレスピー)氏ら研究者と、大手会計事務所KPMGのチームが共同で、2024年11月から2025年1月にかけて、世界47の国と地域に住む4万8000人を対象に実施した大規模な調査研究に基づいている。
報告書では、世界の職場がすでにAIとの協働時代に突入していると指摘しており、調査対象者の58%が自発的にAIツールを利用し、そのうち31%以上が毎週あるいは毎日利用していると回答している。しかし、中国の状況はこれをさらに上回っている。中国の職場でのAI応用率は93%に達しており、利用者の50%がAI利用を常態化させているという。
政府の推進策が受容度の高さに寄与か
調査結果は、中国の回答者がAIに対して明らかに高い信頼度と受容度を持っていることを示している。これは、中国政府がAIのハイレベルな発展のためにしっかりとした基盤を築いてきたことに加え、セキュリティー管理にもより厳しい要求を打ち出していることが背景にあると分析されている。
KPMGアジア太平洋エリア・中国代表の陶匡淳(とう きょうじゅん)氏は、中国の政府活動報告で引き続き「AIプラス」活動を展開することが提言されていることや、多くの地域で大規模言語モデル応用の「コンプライアンス遵守、安全、信頼性」確保が重要な措置とされていることを挙げ、こうした政策がAIの受容度向上に寄与している可能性を示唆した。
メルボルン大学のギレスピー教授は、新興国がAIに対してより高い応用率と信頼度を達成したことは、AIがこれらの国の人々に相対的に大きなメリットとチャンスをもたらし、経済成長の中でますます重要な役割を果たしている可能性が高いと分析している。
今回の報告書は、中国が国家レベルでのAI推進と技術基盤の整備を進める中で、国民の間でもAIが広く受け入れられ、職場での活用が進んでいる現状を浮き彫りにするものと言える。
引用元:Record China
中国のAI受容度、世界平均を上回る