- 韓国の個人情報保護委員会(PIPC)は、中国のAI企業ディープシークが、韓国でのサービス提供時にユーザー情報とプロンプトを無断で転送していたことを明らかにした。
- ディープシークは、ユーザーの同意なく個人情報を中国や米国の企業に転送したほか、プロンプトの内容をバイトダンス傘下の火山引擎に送信していたとされる。
- PIPCは、これは韓国の個人データ保護規則に違反するとして、ディープシークに転送データの削除と海外転送の法的根拠確立を求める是正勧告を出すことを決定した。
- ディープシーク側はユーザー体験向上が目的だったと説明し、プロンプトの転送は停止したとしているが、今回の発表についてコメントは出していない。
韓国当局、DeepSeekによる無断データ転送を確認
韓国の個人情報保護委員会(PIPC)は4月24日、中国の新興人工知能(AI)企業ディープシークが、韓国のアプリ市場でサービスを提供していた期間に、ユーザー情報およびユーザーが入力したプロンプトの内容を無断で転送していたことを明らかにした。
PIPCの声明によると、ディープシークは1月に韓国でサービスを開始した際、ユーザーの同意を得ることなく、個人情報を中国および米国の多くの企業に転送していたという。さらにPIPCは、ディープシークがユーザーのプロンプト内容を、デバイスやネットワーク、アプリ情報とともに、北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下で企業向け技術サービスプラットフォームを手がける火山引擎科技有限公司に送信していたことも公表した。
韓国の個人データ保護規則に違反
これらのデータ転送は、ユーザーの同意なしに行われたものであり、ディープシーク自身も韓国の個人データ保護規則の一部を考慮していなかったことを認めている。PIPCは、この行為が韓国のデータ保護規則に違反すると判断した。
PIPCはこれに先立ち、2月にはディープシークが規則を一部考慮していなかったことを受け、同社アプリの新規ダウンロードを停止する措置をとっていた。
PIPCの是正勧告とディープシーク側の説明
今回の調査結果を受けて、PIPCはディープシークに対し、火山引擎に転送したAIプロンプトの内容を直ちに削除すること、および今後個人情報を海外に転送する際には適切な法的根拠を確立することを求める是正勧告を出すことを決定した。
ディープシークはPIPCに対し、火山引擎への情報送信はユーザー体験の向上を目的としていたと説明した上で、4月10日からはAIプロンプトの転送を停止したと伝えている。一方、今回のPIPCの発表内容に関するコメント要請に対しては、ディープシークは応じていない状況だ。
中国外務省は4月24日、韓国の発表に言及し、中国政府が企業に対して違法なデータの収集や保存を要求したことは過去も現在も一切ないとの見解を表明した。
今回の韓国当局による指摘は、AIサービスの利用拡大に伴う国境を越えたデータ移動とプライバシー保護に関する課題を改めて浮き彫りにするものと言える。
引用元:ロイター
中国ディープシーク、無断で個人情報とプロンプトを転送=韓国当局