中国、AI特許数で世界一に。世界の60%以上を占める 国家ファンドも始動し更なる技術革新推進へ

China

  • 中国が人工知能(AI)関連の特許保有件数で世界一となり、全世界の60%以上を占めていることが明らかになった。
  • この成果は、中国政府によるAI技術開発と知的財産権強化を両輪とする国家戦略や、大規模な国家ファンドの設立などが推進力となっている。
  • アリババのQwen3やDeepSeekといった高性能な大規模言語モデル(LLM)の開発も進み、AIユニコーン企業が多数誕生するなど、エコシステムが強化されている。
  • 積極的な投資や応用志向の研究開発により、中国は世界における技術大国としての地位を固めつつある。

中国、AI分野で圧倒的な特許保有数を達成

中国が人工知能(AI)分野における特許保有件数で世界一となったことが、複数の報告から明らかになった。世界知的所有権機関(WIPO)の報告によると、中国は世界のAI関連特許の60%以上を保有しており、AI技術に関する研究開発とその成果の囲い込みにおいて、他国を大きくリードしている状況だ。

この圧倒的な特許保有数は、中国がAI技術の発展と知的財産権の強化を国家戦略の「両輪」として位置づけ、強力に推進してきた結果であると見られている。

国家主導の推進と大規模投資が背景に

中国のAI特許数世界一の背景には、国家主導によるAI分野への大規模な投資と体系的な産業育成策がある。中国政府は、AI分野のインフラ層からフレームワーク層、モデル層、アプリケーション層までを網羅する包括的な産業体系を構築している。

特に注目されるのは、AI技術のイノベーションと応用を促進するための国家ファンドの始動である。2025年には600億元(約1兆2000億円)規模の国家AI基金が設立される計画であり、全国各地のAI関連プロジェクトを支援する。また、特定分野で高い専門性を持つ「専精特新小巨人企業」として400社以上のAI企業を育成するなど、AIエコシステムの強化にも注力している。

投資も活発化しており、2024年にはAI分野への投資額が前年比35.5%増の1000億元(約2兆円)余りに達した。智譜(Zhipu)、MiniMax、百川智能(Baichuan Intelligent)、月之暗面(Moonshot AI)、階躍星辰(StepFun)、零一万物(01.AI)といった有力なAIユニコーン企業も大型資金調達を成功させており、6社で総額200億元(約4000億円)超を調達したと報告されている。

中国では、アリババの「Qwen3」や「DeepSeek」といった高性能な大規模言語モデル(LLM)の開発が進み、世界的に注目されている。Qwen3はDeepSeekと比較して推論コストが大幅に低いなど、価格競争力も強みとしている。

また、ARグラスの「INAIR」や除雪ロボットの「Yarbo」、会議特化のAIノイズ除去ヘッドセット、さらには新興EVメーカーの零跑汽車(Leapmotor)やAITO(華為との協力)など、多様な分野でAI機能を活用した製品やサービスが登場しており、AI技術の社会実装が進んでいる。

中国政府は基礎研究の強化と同時に応用志向の研究開発も重視しており、特許プールの構築や実験室レベルの技術の産業化支援など、知的財産権の活用と産業化を結びつける施策も推進している。

世界的な技術大国への歩み

AI特許数における中国の圧倒的なリードは、同国が科学技術革新において飛躍的な進歩を遂げ、世界における技術大国としての地位を着実に築いていることを示している。国家知的財産権局も、AIが関与する発明の特許出願が可能であることを明確にするなど、AI関連の知的財産権保護と活用に関する制度整備も進められている。

中国のAI分野における強力な推進体制と成果は、世界の技術トレンドや国際競争に大きな影響を与えるものと見られる。今後の中国のAI技術開発とそれがもたらす世界へのインパクトが引き続き注目される。

引用元:36Kr Japan
中国、​AI特許数で世界一​ 国家ファンドも始動

引用元:Record China(世界知的所有権機関(WIPO)の報告に基づく)
AI分野で世界最多の特許保有国に、世界の60%占める―中国

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