- 中国教育部基礎教育教学指導委員会が、「小中学校の人工知能(AI)一般教養教育ガイドライン(2025年版)」と「小中学校の生成AI利用ガイドライン(2025年版)」を発表した。
- これらのガイドラインは、全段階におけるAI教育の規範化と科学的な推進を目指し、AIリテラシーを持つ革新型人材の育成を深化させるためのものだ。
- 「AI一般教養教育ガイドライン」は、小学校から高校まで段階的に興味育成から応用・実践へと進む螺旋状のカリキュラム設計を提示している。
- 「生成AI利用ガイドライン」は、安全・合理的・効果的な教学支援や個性化学習促進を目指しつつ、データセキュリティーや倫理・モラルの厳守を強調している。
中国教育部、小中学校AI教育の新たな指針
中国教育部基礎教育教学指導委員会はこのほど、「小中学校の人工知能(AI)一般教養教育ガイドライン(2025年版)」および「小中学校の生成AI利用ガイドライン(2025年版)」という二つの重要な教育ガイドラインを発表した。これらのガイドラインは、中国がAI時代に対応するため、初等・中等教育段階におけるAI教育の質と標準を向上させ、将来のAI人材育成を強化するための包括的な取り組みの一環と位置づけられている。グローバル教育分野での技術革命に応じた「中国プラン」を提供することを意図していると見られている。
AI一般教養教育ガイドライン:段階的なリテラシー育成
「小中学校のAI一般教養教育ガイドライン(2025年版)」は、科学的かつ最適化されたAIの一般教養教育システムの確立を目指すものだ。リテラシーの育成を教育の中心に据え、生徒の認知段階から実践段階へとリテラシーが発展していくよう、螺旋状のカリキュラム設計を推奨している。
- 小学校: AIに対する興味を育成し、AIに関する一般的な知識を認知することに重点を置く。
- 中学校: AIの技術原理と基礎的な応用能力を強化することに重点を置く。
- 高校: AIシステムに対する思考力と、AIを活用した革新的な実践能力の育成に重点が置かれる。
このように、学年段階に応じてAI教育の内容と目標を明確にすることで、体系的なAIリテラシーの習得を図る狙いがある。
生成AI利用ガイドライン:安全かつ効果的な活用へ
一方、「小中学校の生成AI利用ガイドライン(2025年版)」は、教育現場での生成AIの具体的な応用シーンに焦点を当てた内容となっている。各学年における生成AIの利用方法を規範化し、安全で、合理的かつ効果的な方法で生徒の学習や教師の指導を支援することを目指している。
このガイドラインは、生成AIの活用が生徒の個性化学習を促進し、教育管理のインテリジェント化を推進する可能性を認めつつも、データセキュリティーの確保や、AI利用における倫理とモラルを厳守することの重要性を強く強調している。生成AIのメリットを享受しつつ、潜在的なリスクを管理するための指針を示したものだ。
これらのガイドラインの発表は、中国が国家戦略としてAI分野を重視し、将来を担う若い世代へのAI教育に積極的に取り組む姿勢を示すものと言える。AI技術が社会に深く浸透する中で、教育システムの対応が世界的な課題となる中、中国の教育現場でどのようにAI教育が実践されていくかが注目される。
引用元:時事ドットコム
中国教育部 小中学校のAI教育に関する二つのガイドラインを発表