- OpenAI CEOのサム・アルトマン氏が共同創設したWorld(旧Worldcoin)が、モバイル人間認証デバイス「Orb Mini」を発表した
- スマートフォン型デバイスは虹彩スキャンにより人間とAIエージェントを区別する目的で設計されている
- WorldはAIと人間の区別が困難になる未来に備え、「人間証明」ツールの普及を進めている
- 米国では4月30日からWorldネットワークが開始され、オースティン、アトランタなど6都市に店舗がオープン予定
Tools for Humanityによる「Orb Mini」の発表
OpenAI CEOのサム・アルトマン(Sam Altman)氏が共同創業した人間認証プロジェクト「World」を手がけるスタートアップ「Tools for Humanity」は4月30日、人間とAIエージェントを区別するためのモバイルデバイスを発表した。
サンフランシスコで開催された「At Last」イベントにおいて、同社のチーフ・デバイス・オフィサーであり元アップル取締役のリッチ・ヒーリー(Rich Heley)氏が「Orb Mini」デバイスを披露した。このデバイスはスマートフォンのような外観で、ユーザーの虹彩をスキャンするための大型センサーが前面に2つ配置されている。
Worldcoinから改名したWorldの目指す「人間証明」技術
以前「Worldcoin」として知られていたWorldは、アルトマン氏とアレックス・ブラニア(Alex Blania)氏により立ち上げられたWeb3プロジェクトだ。同プロジェクトは、将来的にインターネット上で人間とAIエージェントを区別することが不可能になるという考えに基づいている。これに対処するため、Worldはデジタルの「人間証明」ツールを作成することを目指しており、今回の発表は数百万人のユーザー獲得に向けた取り組みの一環である。
銀色の金属製「Orb」デバイス、あるいは今回発表された「Orb Mini」で虹彩をスキャンすると、Worldはブロックチェーン上に一意の識別子を提供し、ユーザーが人間であることを証明する。
スマートフォン型の携帯可能なOrb Mini
同社の大型Orbデバイスを小型化した「Orb Mini」は、スマートフォンの形状を持ち、携帯性を重視して設計されていると、Tools for Humanityの広報担当者は述べた。情報筋によると、元アップルのデザイナーであるトーマス・メイヤーホフ(Thomas Meyerhoff)氏がOrb Miniのデザインに携わったという。
Orb Miniの主な目的は、より多くの人々を認証することであり、必ずしもアプリの使用や通話、テキスト送信のためのものではない。ただし、同広報担当者によれば、最終的な機能については不明確な部分があるという。
イベント後、ブラニア氏は、最終的にはOrb Miniをモバイル決済端末に発展させ、さらにはセンサー技術をデバイスメーカーに販売することも視野に入れていると語った。
米国でのWorld Networkの展開とグローバル展開状況
Tools for Humanityは5月1日に米国でWorld Networkを開始し、オースティン、アトランタ、ロサンゼルス、マイアミ、ナッシュビル、サンフランシスコに店舗をオープンする予定だ。世界の他の国々ですでに展開されているこれらの店舗は、来店者が同社のOrbで虹彩をスキャンできるよう設計されている。
Worldプロジェクトによれば、世界中で2,600万人が登録し、1,200万人が認証を受けているという。現在、同社はラテンアメリカ、南米、アジアでより大きな存在感を示しているが、今回の発表は米国でのプロジェクト拡大を目指すものだ。
Orb Miniの詳細と今後の展望
同社はOrb Miniの詳細についてはあまり明らかにしていないが、このデバイスは認証デバイスをより広く普及させる取り組みの一環と思われる。Worldの目標は年月とともに変化してきたが、Orbは依然としてその使命の中核にあるようだ。
Worldを取り巻く重要な疑問は、いつかサム・アルトマン氏のもう一つの事業であるOpenAIと提携するかどうかだ。Orb MiniがAI機能を持つかどうか、あるいはOpenAIが開発中と報じられているAIデバイスと関連性があるかどうかは不明だ。
引用元:TechCrunch
Sam Altman’s World unveils a mobile verification device